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障がい者雇用率の引き上げ

突然ですが、『障害者雇用率制度』をご存知でしょうか?
従業員を一定以上(現在は45.5人)雇用している民間企業では、法定雇用率以上の障がい者を雇用する義務があります。現在の法定雇用率は2.2%。

『障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」の実現』という理念の元障害者雇用率制度は定められています。

これが令和3年の3月1日から0.1%引き上げられる事で2.3%となり、43.5人以上の企業が対象となりますのでご注意ください、という事です。

障がい者だから、という事でなく、誰でもそれぞれ色んな特性を持っています。法定雇用率、なんていうものを定められているうちはまだまだだなぁと思うのですが、障がい者雇用というとどうしても日本理化学工業株式会社さんのことを思い出さずにはいられません。

詳しくは「虹色のチョーク」という本をご覧いただけると良いかと思いますが、日本理化学工業株式会社さんは全社員86名のうち63名が知的障がい者というちょっと珍しい会社です。でももしかすると会社名やその障がい者雇用の取り組みよりも純粋に「ダストレスチョーク」や「キットパス」という商品の方が有名かもしれません。

キットパスは窓ガラスにお絵かきしても濡れたタオルで綺麗にふき取る事ができ、水に溶かせば絵具にもなり、しかも環境や人体にも安全という優れたクレヨンです。私も購入して自宅の窓に娘とお絵かきをしてみたらとても書き心地も良く発色も綺麗で盛り上がりました。

本の題名にもあるように元々はチョークを作っていた会社さんですが、障害者雇用について次のような考えをお持ちです。

時間をかけて教え指導するのではなく、それぞれの今もっている理解力に合わせて作業ができるよう環境を整える事に重点をおいています。

これは障害の有無にかかわらず、企業側の姿勢としても非常に優れた感覚だと思っています。
人間誰しも苦手な事をやるのは苦痛が伴います。できない事を無理にできるようにするのではなく、今できる事を活かしてもらう方がお互いにストレスが少ないのではないでしょうか。

労働者側を無理に合わせるのではなく、環境の側を労働者に合わせる。
ここまでできる会社さんは少ないかもしれませんが、結果としてこれから社会に必要とされる会社になるかどうかはこの視点だと思います。

「人間の究極の幸せは、1つは愛されること、2つ目はほめられること、3つ目は人の役に立つこと、4つ目は人に必要とされることの4つです。福祉施設で大事に面倒をみてもらうことが幸せではなく、働いて役に立つ会社こそが人間を幸せにするのです」

これは日本理化学工業で大切にされている考え方です。
高齢者介護でも、誰かの役に立つ事をとても喜んでくださる高齢者の笑顔をたくさん見てきましたし、私自身の事を考えてもその通りだと思っています。
育児休暇で社会からの孤立を感じた経験を経てなお一層、働ける事の幸せを感じています。

第一歩として法定雇用率の引き上げによって、一人でも多くの障がい者の方が働いて幸せを感じられるのならこういった改正も血の通ったものになります。
そして多様性を受け入れられる環境の整備が、今後の事業の発展へと繋がっていくと理想的ですね。

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