ブログ

福祉サービス第三者評価制度

先日の社労士会介護研究会のテーマは福祉サービスの第三者評価でした。
実際に評価者として登録機関に所属し、年20件ほどの評価をしていらっしゃる先生が講師をしてくださいました。

そもそも第三者評価とは何か。
社会福祉法第78条第1項で「社会福祉事業の経営者は、自己評価の実施等によって自らの提供する福祉サービスの質の向上に努めなければならない」と定められています。
出ました。「努力義務」です。

ただし、社会的養護施設(児童養護施設・乳児院・母子生活支援施設・情緒障害児短期治療施設・児童自立支援施設)については平成24年から義務化されています。
その他の福祉施設にとっては「自己評価の実施」の努力義務に当たるというところです。

東京都は介護施設の第三者評価にも力を入れていて、第三者評価の結果を「とうきょうと福祉ナビゲーション」通称「福ナビ」にて公表しています。
誰でも見る事ができる客観的な評価、という位置づけですね。

この第三者評価、東京都だけは全額補助が出ています。
他の道府県では事業者負担となるところが多いようで、平成30年の結果では全国の受審件数約4,923件の内3,245件が東京都に集中しているという結果に。

その方法について説明をしていただきましたが、改善点がまだまだあるようです。
福祉もしくは経営の有識者でないとそもそも評価者になれないそうなのですが、
有識者でも研修や試験を受けなければなりません。
そして、評価機関にもよりますが評価者の高齢化が進んできている、とも。
そうお話をいただいた先生も、銀行を定年退職した後にご開業されているベテラン先生です。

評価者の登録を受けた方は評価機関に所属して評価に行く事になりますが評価を行う事業所からの受注は
普通に評価機関ごとに営業で契約をとってくるそうです。

評価者の方は研修も受けていますし、嘘をついたり評価実績がなかったりすると名簿から抹消されてしまうという罰則があるという事で評価内容の信ぴょう性を担保しているのだと思いますが、
選ぶのが事業者である限りはやはりあまり辛辣な事は書けないという仕組みになっているようです。

そのため、福ナビを見ると点数は基本的にどの事業所も満点に。
コメントやご利用者からのアンケート結果なんかも掲載されているので、そちらは参考になると思いますが、
ぐるなびのように点数で判断というような事は出来ない状態です。

どちらかというと、お金を払って記事を書いてもらう、求人募集サイトのようなイメージで閲覧する方が
良いかもしれませんね。全くの嘘ではないけれど、良い事を取り上げて書かれています。

実際に経験値があり他の事業所もたくさん見てきた評価者の方からアドバイスをいただくのは有益な経験だと思いますが、なかなか件数が伸び悩んでいるのは現場の負担と金額負担の二つかと思います。
良いこと・正しい事であっても優先順位をつけて取り組んでいく必要があります。
そういった意味では、まずは事業者のアピールになるような内容で広く周知されるのであれば、
もう少し広まっていくのかもしれませんね。

せっかく受けた事業所さんが活用しやすい方法があるともっと良いのかなぁと思いました。

PAGE TOP