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社会問題とビジネス

今日は最近読んだ、ボーダレス・ジャパン田口社長の著書「9割の社会問題はビジネスで解決できる」に感銘を受けた話です。

私は前職で介護事業所を運営している営利法人にいたので、「福祉をビジネスにするなんてけしからん!」
「弱者を食い物にして利益を上げる会社なんてけしからん!」と、まぁなかなか厳しいお声をたくさんいただきました。

一緒に笑ったご利用者や一緒に泣いたご家族との濃密な時間がそんな批判に対する答えだ!と外野の声は聞き流していたのですが、そろそろこの「ビジネス」や「利益」が悪者になり続けるのはいかがなものだろうとずっとモヤモヤしていました。

いくら良い事をしたい、人に喜んでもらいたいと思っても、一時の寄付やボランティア活動という善意だけの活動は続ける事がとても難しいです。そして、多くの人が参加する事もできません。
だから適正な利益を上げながら継続的に運営を続けられる仕組みとして、ビジネスにする必要があると思っています。

営利法人が福祉に参入する事で、残念ながら中には「適正な利益」を逸脱して利益を追求するためにサービスの質を下げるような会社も出てきて、
劣悪なサービスをじゃんじゃん増やしてしまったという負の側面ももちろんあります。
でも結局、そういう会社はご利用者から選ばれなくなって淘汰されていくんですよね。

で、田口社長のお話。
グループとして世界中で40のビジネスを展開していますが、そのどれもが
「儲からない、とマーケットから放置されている社会問題」を解決するために考えられたビジネスです。

資本主義の本質は効率の追求であって、非効率な場所やものや人は取り残されてしまう。
それを、非効率を含めてビジネスをデザインしなおしてプランを考えることがスタートだそうです。
難易度が高すぎるお話だなぁと思いきや、よしもとの「芸人養成所」ならぬボーダレスジャパンの「起業家養成所」まで作っているという力の入れよう。

ボーダレスグループが取り組んでいる「マーケットから放置されている社会問題」というのは本当に様々で、例えば

・ミャンマーへき地の農家の貧困⇒ハーブ栽培を勧め、日本の授乳期ママ用ハーブティー販売

・日本のフードロス⇒規格外農産物の販売ルート確立

・衣類による環境破壊や劣悪な労働環境⇒受注生産販売のブランド立ち上げ

などなど・・・
確かにこの、「非効率を含めたビジネスのリデザイン」というのがものすごく頭を使いそうなところだけれど、
やってみて失敗してもう一回挑戦するだけの金銭的な支援ができるボーダレスグループだからこそ、
40ものビジネスを軌道に乗せてきているんだと思いました。

色々なルールがあるのですが、特になるほどなぁと思ったのが
『起業したばかりで人を雇用しない。』
という点と、
『代表者の給与は一番給与の低いメンバーの7倍以下』
という点と、
『株主(田口さん)は出資金以上の配当を受けない』
というところ。

田口さんの言葉を借りれば営利法人でありながら、目的は社会問題の解決、利益を得る事は「けじめ」だそうです。なんとかっこいい。

働き方が多様化してきている中で、『起業』という選択が以前よりはぐっと身近なものになりました。
『好きな事して生きていく』のも大いに結構ですが、困っている誰かの為に起業するという選択も
すごぉく魅力的だなぁと思いました。

ステキすぎる田口社長は、間もなく代表の地位を降りてまた新しい事業を立ち上げる側に回る予定だそうです。

金銭的な豊かさ(収入)と人生の幸福度はある程度(550万円~900万円程度)までは比例関係にあるが、
それ以上の収入を得ても頭打ちである、と言われています。
でも誰かの役に立つ、例えば飢えていた子どもがおなか一杯食べらるようになった、なんてことは
きっと何回でも嬉しく感じるだろうし、それを幸福と言わずに何と言うのでしょう。

精神的な豊かさと幸福度はきっと、どこまで行っても比例関係で、
そうすると無数にある社会問題の90%を解決する側に回るのはこれからの幸せな生き方の最先端なのかもしれないと、そんな風に思いました。

今すぐに私も起業する!とはいきませんが、定期的に読み返さないといけない一冊になりました。
やりたい事をやるには人生は短いけれど、ずっとやりたい事がある人生の方が楽しいですよね。
熱くなってしまいまとまりませんが、最高の読書体験でした。
超おススメの一冊です。

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