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生活保護制度の研修を受けて

先日、社労士東葛支部の介護研究会で生活保護に関する研修を受けました。
めちゃくちゃ勉強になったのですが、特に興味深かった事を2点ご紹介します。

1点目が、外国人の方の生活保護受給について。
生活保護法1条でその対象を「生活に困窮するすべての国民」としており、ここに外国人が含まれるか否かについて議論があったそうです。

そこで、昭和29年に通知で「外国人に対する保護は、法律上の権利ではなく単に一方的な行政措置によって行っているものである。」としていました。
そして平成26年に最高裁の判例で「生活保護が外国人に適用されるという法的根拠は見当たらない。外国人は行政措置により事実上の保護の対象となり得るにとどまる」とされました。

つまり、外国人に対しては生活保護を行政措置として行うけれども、外国人側から権利を主張する事はできない、つまり不服申し立てをする事はできないよ、という事です。

現実的には厚労省の発表している数字を見てみると、生活保護受給世帯の内3%が外国人世帯となっています。
在留外国人の総人口に占める割合は令和元年データで2.32%なので、権利が無いとはいうものの、しっかり役所は措置として保護しているということでしょう。

2点目が、そんな生活保護世帯を担当する役所の体制について。
ケースワーカーさんは一人で80世帯を担当(!?)する事になっているものの、現実には公務員の削減などのあおりを受けそれ以上を担当してる方も多いそうです。

ちなみに介護保険制度において、ケアマネジャーは法改正によって担当人数上限が増えると言っても一応45名が上限です。
業務内容は違えど、介護のプロであるケアマネさんの倍以上の世帯を担当するケースワーカーさんってどんな人たちなんだろうと思ったら、経験3年未満の職員さんが63.3%。

調べてみたところ、ケースワーカーさんになるには地方公務員試験に合格しないといけないんですが、「福祉職」として専門職で募集をしている自治体もあれば、「行政職(いわゆる一般事務職)」として採用された人が単純に配置されるという事もあるようです。

一般事務職の方が人事異動で急に生活保護80世帯対応って、これって制度として運用できる範囲を超えているような気がするんですが。。。

生活保護については、行政窓口に行ったけど受理してもらえずに命を救えなかった。これは役所の責任だ!みたいなニュースは良く目にしてきました。
もちろん、それは大問題で、そうした対応の事を「水際作戦」なんていう言い方で非難されているそうです。

でも、役所の人だって人間です。
中にはそれこそ「権利」ばかりを主張したり不正受給をするような人もいて、80世帯に一件一件真剣に向き合い続ける事って可能でしょうか?
そしてそんな状況下で、水際作戦をしてはいけない事は分かっていても、その一件を受ける事で他の人の対応ができなくなるとしたら。

社会保障の最後の砦と言われている生活保護制度。
最後の砦が今、あまりにも脆い状態に陥っている事を知りました。
報道やニュースも役所や個人を責める事よりも、もっと制度上の問題点を伝えるべきなんじゃないかなと感じています。

私ももっと勉強していかなければ。

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