今回は、ご利用者の娘様から受けた相談のお話。(プライバシー配慮のため一部脚色しています。)
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時子さんは関西出身。
目が合うと面白い顔をしてくれたりとユニークな一面もありつつ、
にっこり笑った時の顔は菩薩のように優しさに満ちている方。
ある日ご自宅に伺った際に娘さんから相談があった。
「うちのお母さん、変な癖があって、トイレットペーパーを体に隠すんですよ。何回言っても治らなくって。デイでもやってますか?」
実は紙を集める方、結構いらっしゃる。
下着との間やズボンの中、時子さんは豊満な方でいらしたのでお胸の下なんかにも。
当時のご利用者様の中にも程度の差こそあれ、片手で収まるかどうかくらいの人数はそういった傾向がある方がいらした。
余談だが、収集癖は不安から、とか、昔は物が少なかったから、とか、色々言われている。
その中でも女性は「紙」が多いなぁと思っていた。
紙を集めるのは尿失禁の不安から、なんていう説もある。
完全にこれは私の勝手な想像の範囲なのだが、自身が子育てを経験してみてふと最近気付いた事がある。
子どもといると紙(ティッシュ、トイレットペーパー、今はウェットティッシュなど)を本当によく使う。
飲み物をこぼす、転んで泥が付く、鼻水をかむ、くちの周りを拭く・・・
すぐに対応できるよう、世の幼い子どもをのいる母親はいつもティッシュ類を持ち歩いているはずだ。
だから紙を集める収集行為は、もしかしたら自分のためじゃなくて子どもの事を考えている方もいるかもしれない。
そう考えたらなんて愛おしい行為だろう!
閑話休題。
時子さんの娘さんに、他にも数名いらっしゃるとお伝えしたところ
「え~~~!うちのお母さんだけかと思ってたわ!なんかホッとしました。」
そう言われて、はっと気づいた。
介護職にとってはよくある事でも、ご家族にとっては大きな問題と感じている事もある。
自分だけかもしれないと実は悩んでいる事もあるのかもしれない。
それに気づくのも大事な介護職としての仕事なんだ。
入浴前の脱衣を手伝いながら、時子さんに聞いてみた。
萌「時子さん、この紙、何に使うんですか?」
時子さん「これはなぁ、、、あんたにあげようおもっとったんじゃ。誰にも言うたらあかんで。」
萌「それではこっそりと。」
二人「いひひひひ」
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介護の仕事をしていると、ご利用者もご家族もいろんな方がいます。
ご利用者に安心して過ごしていくためには、ご家族と施設との信頼関係もとっても大事。
そんなことを考えさせていただいた時子さんとそのご家族のお話でした。