今日はご利用者、スタッフ、ご家族が皆で起こした小さな奇跡のお話です。
(プライバシーに配慮して一部脚色しています。)
光代さんに初めてお会いした時、正直「寝たきりの方にデイサービスでどう楽しんでもらえば良いのだろう?」と不安に思った。
それでも座る事もでき、お話こそしないものの話しかけるとじっと見つめてウンウンと頷いてくれる光代さん。
「寝たきり」ではなく「寝かせきり」になりかけていた事に気が付いた。
以前は賑やかな方だったそうで、ご家族としても人が集まるところで刺激を受けながら過ごしてほしいというご希望だった。
ケアカンファレンスで職員と話し合い、必ず目を見て挨拶をする事、ちゃんと頷いてくれてから介助をする事などを決めた。
それから毎朝光代さんが来ると職員が次から次へと目の前で挨拶を繰り返し、光代さんがウンウンと頷くのが見慣れた光景になっていた。
しばらくしていつものように職員Mさんが「おはようございます!」と挨拶をすると、
「・・・お・・はよ」
光代さんがしゃべった。
その瞬間、施設中が一瞬静まり返った。
「え~~~~!」
「今、光代さんしゃべった?」
「Mさんずるい!私も言われたい!!」
とその日は光代さんフィーバー。
一回の挨拶をきっかけに皆がもっと光代さんの声を聞きたいと毎日毎日話しかけた。
それにこたえるようにして光代さんも最初は単語で「おはな、ね」や、「〇〇どおり(近所の通りの名前)」などを話してくれるようになってきた。
こうなると職員もますます盛り上がる。ご家族もご自宅でたくさん話しかけてくださっている。
気のせいか、最初のころよりも光代さんの表情が柔らかくなってきた。
そして、ついにその瞬間が来た。
・・・
思った以上に長くなってしまったので、後半はまた次回に。
ここまでお読みいただきありがとうございました!