今日はデイサービスの管理者時代に職員さんから大反発をくらった時のお話です。自戒を込めて。
当時、私は民家型の小規模デイサービスで管理者になったばかり。
その特性から「普通の生活」という事を大切にしていきたいという強い想いがありましたが、介護の仕事が長いスタッフの中にはそれよりも事故を起こさない事を第一優先事項と考える人もいました。
確かに転倒や離設(施設から一人で外に出てしまう事)は起こしてはならない事です。
ただ、そのための方法が行き過ぎると「転ぶと危ないから立ち上がらないように」「外に出ると悪いから鍵をかけよう」と、ご利用者の自由を奪う事に繋がってしまいます。
そのデイサービスで働いていた先輩介護スタッフさんが少しこういった傾向のある方でした。
それでも熱心な事には変わりなく、積極的に意見を言ってくれる方でした。
先輩として介護現場の事については色々と教えてくれて頼もしい面も多分にあった半面、「包丁を利用者に使わせるのは危ない」「この段差が危ない」「背の届かないところに鍵をつけてほしい」という助言については正直なところ少々煩わしく思っていました。
後から振り返ってみれば、普段そういった助言をもらった時、しっかりと向き合わずに「まぁそうですね~」と流していたのが悪かったのだろうと思います。
せっかく良かれと思って意見を言っても、全然改善されない。
ご利用者の安全を考えて提案をしているのに、お金のかかる事は全く手を付けてくれない。
そんな風に徐々に不満を募らせていたのでしょう。
当時管理者になったばかりだった私はとにかく知識と経験を努力でカバーするために毎日必死で、そのスタッフさんのそんな様子を気に掛ける事ができていませんでした。
そして迎えた職員面談。
そのスタッフさんは何やらメモを取り出し、
「萌さんに言ったけど改善されていない事リスト」を読み始めました。
①室内の段差解消のためにスロープを付けて欲しいと言ったけど改善されていない。
②個室に鍵をつけて欲しいと言ったけど(略)
③職員の腰痛予防のためのバンドを買って欲しいと(略)
④利用者さんには介護用の室内履きを用意するように伝えて欲しいと(略)
もう忘れましたが他約10項目。
どれもこれも、私の価値観としては自分が管理者を務めるデイサービスには不要と思われるものばかりでした。
だから私は、ここでは必要ないという事を全ての項目について説明しました。
結果、どうなったと思います?
「私はもう萌さんとは働けません!明日から来ません!!」
と、そのまま退職となりました。
当時はそれなりに悩みましたし、他のスタッフへの影響も少なからずありました。逆らうと辞めさせられるんじゃないか、という嫌なパワハライメージもついていたと思います。
あの面談で全項目を突っぱねた事を後悔しているわけではありませんし、当時の自分では対応しきれなかったというのが何度も考えた結論です。
それでも、日々のコミュニケーションをもう少し丁寧にできなかったかな、という反省はあります。
目の前の利用者さんのためになる事をしようという目的は同じでも、時としてこういったエラーが起こる事もあります。
毎日一緒にいても、何を考えているかは口に出さないと伝わりません。
面倒くさがらずにしっかりと言葉にして伝え合う事が出来ていればあんなにも不満を溜めてしまう事も無かっただろうと思います。
言わなくても分かってくれる、と思っているのは片方だけ。
その方が退職してからは(本当に次の日から来なかった!)、スタッフに対して誠意ある対応を一層心掛けるようになりました。
きつい失敗でしたがあの時期に経験させていただき、今となってはそのスタッフに感謝の思いです。
ありがとうございました!未熟者ですみませんでした!
でもやっぱり提案は却下です!ごめんなさい!