今年の2月~9月の時限措置として始まった介護職員処遇改善支援補助金。
当初からその後についても同水準の収入となるよう、加算に組み込まれる予定でした。
今年の10月からそれが「介護職員等ベースアップ等支援加算」という名称になり、加算の一部として組み込まれます。
10月から算定する場合の書類提出締切は多くの指定権者で8月末となっています。
介護職員等ベースアップ等支援加算の取得について、個人的にうっかりしがちなポイントだと思ったところをまとめておきたいと思います。
①加算の変更なので体制届・体制一覧表が必要
但し、今回ベースアップ加算の変更のみの場合には計画書だけでOKとしている市もありました。
これ、できる市があるなら全部こっちに合わせていただきたいのですが・・・
②加算の変更なので利用者負担が増える
今までは補助金、これからは加算となるので利用者負担が変わります。
1~数%の負担ではありますが、しっかり説明して同意をいただく必要があります。
③ケアマネジャーにも報告する
給付管理の限度額対象外ではありますが利用者負担に影響を与えるため居宅ケアマネにも事前に報告をする必要があります。
個人的には一回『補助金』を挟んだ事で余計に分かりづらくなってしまった感があると思っています。
補助金であれば①~③は不要でしたので、加算との手続きの違いが混乱を招きやすいですね。
また、念頭に置かなければいけないのは、介護職員の給与を上げるためのお金は介護保険料や税金などで国民が負担しているという事です。
介護保険の財源の50%は40歳以上の人が払っている介護保険料です。
国民に必要なインフラだから、広く負担してもらっているお金でスタッフの給与を上げる仕組みになっています。
と言う事は、改革をして加算を増やせばそれだけ負担も増えるはず。
他産業では、収益を上げた分は人件費、設備投資、その他経費に経営者の裁量で振り分けられるのに、
介護保険制度では入ってきたお金のうち、処遇改善加算分については人件費にしか使えない、と仕組みによって決められているんですね。
広く負担してもらっているお金を財源としているから、多くの人が納得できるような使い方をしないといけないという事なんでしょうか。
このルールによって介護スタッフの給与は増えるけれど、収益は全く改善されないんですよね。
それでもスタッフのためにと余計な手間をかけて加算取得をする経営者さん。
しかも代表取締役は現場に出ていようが何しようが支給対象外です。
小規模事業者の経営者さんが自分で抱えようとするとなかなか厳しい仕組みですよね。
現状ではできる限りお手伝いをさせていただき、スタッフの待遇改善と経営者さんの負担軽減を目指しています。
2024年の診療・介護報酬の同時改定の行方に注目しています。