以前勤めていた会社で後輩の女の子にこんな事を聞かれました。
「仕事へのモチベーションを保つにはどうしたら良いと思いますか?」
当時仕事に没頭していて闘うホルモン(アドレナリン)が出まくっていた私は、
「分からん。モチベーションで仕事してないから。」と切り捨てるという、今考えるとヒドイ回答をした事を思い出しました。
そんな私も少し成長し、最近「ケアマネ・福祉職のためのモチベーションマネジメント」という本を読みました。
言うまでもなく、福祉業界は人材難が続いており且つ、離職率も高い傾向が続いています。
それが何故か、改めて考えてみようと手に取りました。
頭を使う「頭脳労働」、体を使う「肉体労働」に対して、感情をコントロールする事で対価を得る事を社会学者A・R・ホックシールドが「感情労働」であると定義づけたそうです。
そして、本書の著者である高室氏によるとその最たるものが福祉職、特にケアマネジャーであるとしています。
本書はケアマネ・福祉職が心折れずに明日も頑張れるようになる事を目的として、
・仕事の特性から陥りやすいメンタル不調、
・ストレスとは何か、ストレスケアの具体的方法、
・モチベーションとは何か
・モチベーションコントロールの21種類の技法
などについて書かれていました。
特に面白いと思った点を2つだけ。
1つ目は、ストレスケアで紹介されていた4つの方法のうちの一つ、「援助希求能力」という言葉。
ストレスで潰れてしまう人のパターンの一つに、一人で抱え込んでしまう傾向がある。
手伝ってほしい、力を貸してほしいと言える事を「援助希求能力」と呼ぶそうです。
組織全体で結果が良ければ良いわけで、一人が抱え込む事によってその機会が失われてしまう方が損失です。
だから、『援助を求める事=甘え』ではなく、『能力』というところが良いなぁと思いました。
特に感情労働者であるところの福祉職の方には大事な能力ですね。納得です。
もう1つは、仕事の選択動機と仕事満足度の中の「モチベーションポイント」という考え方です。
何が仕事のモチベーションアップにつながるかを五つのタイプに分類しています。
①達成感・成功感タイプ・・・責任感が強く、誉め言葉でモチベーションがアップする。
②人間関係タイプ・・・信頼関係のある相手に悩みを傾聴してもらう、ねぎらいの言葉をかけてもらう事でモチベーションアップ。
③自己成長・自己実現タイプ・・・一人でも粘り強く取り組める。教えを請われると更にモチベーションアップ。
④社会的評価タイプ・・・尊敬、感謝を伝える事でモチベーションアップ。
⑤生活の安定タイプ・・・家族や自分の生活に時間、お金を使えるとモチベーション維持。
それぞれのタイプに合った方法を選びましょう、という事なのですが、
介護職の方と管理者との面談の中でのヒントになりそうだと思い取り上げてみました。
まずは職員さんが何を大切にしているのかを知る事が第一歩ですね。
その他にもマズローの欲求5段階説から始まり、ピグマリオン効果、レジリエンス、アンダーマイニング効果など、
色んなエッセンスの詰まった一冊でした。