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介護事業関連の訴訟(勉強会)

先日参加させていただいた勉強会。
テーマは介護事業に関する判例について。

訴訟について専門でない私達のために司法書士の先生が大変分かりやすくご説明くださいました。
せっかくですので今日はそれをご紹介したいと思います。

訴訟には大きく2種類あり、主に刑事と民事に分けられます。
「訴えてやる!」的なものは基本的に民事裁判。

裁判では訴えた人(原告)の意見だけでなく、訴えられた側(被告)の意見も裁判所は必ず聞く事になっているので、
「訴えてやる!」と言われても自分に非が無いと思ったら「訴状が届くのをお待ちしています」と冷静に答えれば良い、と教わりました。

民事裁判で争われるもので介護事業所が関係してくるのはほぼ損害賠償請求で、
今回判例として取り上げられたのもデイサービス内での転倒事故についての損害賠償請求事件でした。

この事件ではXさんが転倒による入院をきっかけとして要介護4の状態になってしまい、
ご家族の介護負担が増大して仕事を辞めざるを得なくなったということで、当初はおおよそ4,000万円の損害賠償請求を起こされています。

地方裁判所の判断としては、原告の訴えの一部を棄却した上で本人Xさんの過失割合を3割として減額し、会社Yに1,253万円の支払いを命じました。

会社Yはそれに対して争う事なく終結となっているのですが、介護事業者にとっては非常につらい判例となっています。実際には施設賠償責任保険を使って支払うことになるのですが、それでも心情的には大変な事です。

この講義を聞きながら、あるデイサービス管理者さんの契約時の説明を思い出していました。
その管理者さんはデイサービス管理者の前は特別養護老人ホームで介護スタッフとして勤務していて、
理想の介護を求めて転職してきた介護一筋の超激熱管理者さんでした。

ご利用者との契約の際には
「転倒事故が起こらないようにするのは僕らの仕事です。でも絶対転倒はあります。
 デイサービスで〇〇さんらしく過ごしてもらいたいから、転倒を100%防ぐ事はできません。
 それでも良ければ契約してください。」
とはっきり伝えていて、逆にとても心強く感じた事を思い出しました。

事業所内で転倒事故が起こらないように環境整備をしたり、ご本人に必要な介助方法を検討したりすることは必ず行わなければなりません。
でも、人が動く以上防ぎようのない事故はあります。

今回扱った判例について、法律家の教授でも「判決に疑問がある」という方もおられ、
もしかすると更に高位の裁判所で判決がもっと事業所側に寄り添う形になったのでは?という可能性もあるようですが、この判例では被告側が上訴していません。

このことについて施設の経営層に近い先生は
「私でも多分上訴しませんね。
 長引く事でスタッフの精神的負担は計り知れませんから」

とおっしゃっていたのが印象的でした。
事故を起こしたくて起こす人はいません。
大事なスタッフを守るためにも、事業所内でのリスクマネジメントと同じように
契約時の説明もしっかりと見直さなければいけないと感じた勉強会でした。

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