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事業場外みなし労働時間制

コロナ禍で世間的にはリモートワークが進みましたが、介護業界は対人の仕事であり、
リモートワークから少し遠い場所にいるように感じていました。

ところが先日、ケアマネジャーさんの働き方についてある事業者さんからご相談をいただきました。
『事業所に出勤をしない方が効率が良いのですが、出勤しないとしたら勤怠管理はどうするのが良いと思いますか?』
という内容です。

ケアマネジャーさんのお仕事と言えば、介護を必要とする高齢者の総合的なケアプランを作ること。
そのために利用者訪問をすることもあれば、急にご利用者から呼び出されることもしばしば。
事務作業にしてもPCがあればどこからでもできるようになりましたから、事務所に出勤する必要性が薄れてきたのでしょう。
ましてや出勤回数を下げる事で他人との接触回数も減りますのでコロナ禍においては
直行直帰を推奨する事業者さんも増えていたことと思います。

労働基準法では「事業場外のみなし労働時間制」という制度があります。

労働基準法第38条の2(第1項)
労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、
労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。

「労働時間を算定し難いとき」というのがネックで、実際には「労働時間を算定する方法はあるでしょう」ということで認められない事が多いと言われています。
一般的なリモートワークでは、PCへのログイン時刻や打刻システムなどにより労働時間を算定する事が可能なため実際の労働時間を記録する事が可能と言えます。

しかし、ケアマネジャーの業務ではPCを使う業務以外にも訪問や緊急対応なども頻発することで、
労働時間を正確に記録する事が困難な場合もあります。
特に事務所への出退勤を義務化しなければ業務の開始、終了について誰の指示があるわけでもなく、
ご利用者からの連絡は24時間発生する可能性があります。
(会社ルールとして電話連絡は時間を決めている場合もあるでしょうが)

業務内容も個人の裁量に委ねられていることが多く、「労働時間を算定し難いとき」に当たる可能性が高いのではないかと思い、労基署へ電話確認をしてみました。

結論としては個別判断にはなるけれども条文通り「算定し難い」のであれば事業場外のみなし労働時間制を採用することも可能である、ということでした。
つまり、なんのヒントにもなりませんでした笑。条文通りです。

もう一つ、介護保険法上も問題ないかどうかを念のため確認しました。
こちらも「加算取得が無いと仮定すれば管理者が常勤であることしか求めていないので、
その他のケアマネジャーさんについては特段問題ありません」
との回答でした。

以上の事から、通常の業務範囲を超える労働が行われた場合と、
深夜労働については別途申請してもらい割増賃金を支払う必要があることをご説明し、
実際に運用可能かどうかをケアマネジャーさんと会社さんで検討いただく事になりました。

こういったご相談をいただくと改めて勉強になります。
居宅介護支援事業所の勤怠管理について、こういう方法があるよ!というのがあれば
是非お知らせいただけますと喜びます。

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