前回の成年後見制度の研修会の後半の研修が、ルポライターの菅野久美子さんによる「超孤独死社会」という内容でした。
千葉県社労士会もなかなか攻めた研修をするものです。
題名の通り、日本は超高齢社会であるとともに、「超孤独死社会」であると菅野さんは言います。
元々は事故物件の取材をしていたそうなのですが、そのほとんどが孤独死であるというところから興味を持たれ、
今では孤独死についての著書もある菅野さん。
菅野さんによると、「孤独死」という言葉については定義づけがまだされていないそうです。
千葉県内の団地の自治体が定義づけについて厚労省へ要望を出しているものの明確にはなっておらず、
一応「死後しばらく(2日以上)してから遺体が発見される」というもので考えると、日本では年間約3万人が孤独死を迎えているということです。
そして、なんとなく独居高齢者の方が多いのかと思いきや、そうではなく現役世代の方が多いそうです。
理由は、現役世代の方が福祉の目にかかりづらく発見されないから。
平均年齢は61歳で、もちろん高齢者もいますがそうでない方は失業や離婚など何かのきっかけで孤立してしまい、
その後セルフネグレクトの状態に陥ってしまうことがある、と。
ひと昔前は地域の中で人々は結びつき生活していました。
ですがネットの発達等により誰にも会わずとも、どこにも行かずとも、情報もモノも入手することが可能になりました。
このため、人間関係から撤退してしまうことが可能な社会になったと言えます。
最後に菅野さんはこんな話をしてくれました。
「近い将来、早く遺体を見つけることは可能になると思います。でも、それで良いのでしょうか?」
社会保障制度の目からあぶれてしまう人、制度の隙間で救われない人が実はたくさんいます。
年金、生活保護、介護保険、成年後見制度。
日本は社会保障がある程度充実しているようですが、制度だけでは救われない人がいる。
一人ひとりが自分だけでなく周囲の人々に目を向け、想いをくみ取り、少しだけ優しい社会になるには
どうしたらよいのかな、と、成年後見制度の研修で考えさせられるとは思いもよりませんでした。
なかなか聞くことのないお話を伺うことができ、考えさせられる一日でした。