クリスマスイブに、千葉県社労士会の主催する『成年後見制度に関する一般研修』を受講してきました。
2000年に介護保険が制定された際に「措置から契約へ」の移行があったわけですが、その「契約」に付随して必要になるというところから成年後見制度は介護保険制度と並んで高齢者を支える制度の両輪として誕生しました。
ところが介護保険制度の浸透に比較して馴染みが薄く、未だに制度自体をあまりご存じない方も多いように思います。
成年後見人というのは判断能力の不足している方に対して、財産の管理や契約の代理などを行い財産を保護していく仕事をする人の事です。
成年後見には大きく2種類あって、「任意後見」と「法定後見」に分けられます。「任意後見」というのは判断能力があるうちに親族等で自分が任せたい人を指名して後見人になってもらう事ができる制度です。
「法定後見」というのはそれとは違い、家庭裁判所が弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門家の中から後見人を決定します。特に財産の多い方の場合には弁護士さんや司法書士さんが選ばれる事が多く、福祉施設の利用が必要な場合には社会福祉士さんから選ばれたりという傾向があるそうです。
そこに、後見人をつける方は老齢年金や障害年金などの年金を受給している事が多いよね、という切り口から社会保険労務士も今後後見人の受任に積極的に関与していこうという動きになっています。
2020年現在、日本の65歳以上の高齢者人口は3617万人。そのうちの約15%が認知症だと言われていますので約540万人です。
しかし昨年の成年後見制度の利用人数は22万人。その約4%程度です。高齢者だけでなく知的障害の方なども含んでこの数値です。
ちなみに介護保険を使った人は2019年8月のデータで約478万人。
成年後見制度がいかに一般に浸透していないかがよくわかります。
デイサービスの管理者をやっていた時、ご利用者様の中に「日常生活自立支援事業」の利用をしている方がいて、その担当者の方もサービス担当者会議に参加された事がありました。
今回の研修で、社会福祉協議会の方から「ざっくり説明すると後見制度の前段階の制度」と言われてなるほど!と約10年越しに理解しましたが、成年後見人がついているという方は自身が管理者をしていたデイサービスにはいらっしゃいませんでした。
同法人内の他事業所で数名いらっしゃいましたが片手で数えられるほどだったと思います。
権利擁護の取り組みとしてこの成年後見制度の啓発活動が続けられています。
今後はエンディングノートのような「老い支度」として任意後見人を指定する動きが広がってくるのではないかと思います。
地域によって権利擁護推進センターの設置があるところ、無いところと様々なようですが、今後間違いなく広がりを見せるであろうこの制度。
報酬は月額にして約2万円程度(裁判所が諸々を鑑み決定)という事ですので仕事とするにはなかなか大変なようですが、認知が広がることでニーズが急上昇するのではないかと思っています。
介護業界に恩返しを!と決めている私としては、とても興味深い制度で、ぜひ挑戦したいという気持ちになりました。
毎週土曜日丸1日の研修×5回というのが子持ちにはちょっと辛いので、できればイーラーニング開催を希望します!