「脳のアクセルとブレーキの取扱説明書」行動経済学者の真壁昭夫先生と、
いつもの中野信子先生の共著を読みました。
まず、行動経済学は「人間はどうしても誘惑に負けてしまう」という事を前提としています。
この、「誘惑」という言葉は、中野先生が良くおっしゃっている「脳内快楽物質の分泌」という事と関係しているようです。
例えば経済のバブルは人々が冷静で合理的な判断をしていれば起こり得ない状況であるにも関わらず、実際には度々発生しています。
大多数の人が誘惑に忠実に、極めて短期的な利得を求めた結果として発生するのがバブルではないかと中野先生は述べられています。
というような、ちょっと難しいお話もありつつ、
私が興味があるのはやっぱり人事制度として応用できそうな「金銭的報酬」について。
元々ろうそく問題と呼ばれる実験で金銭的報酬はクリエイティブな仕事には向かないよ、という事を学び、こちらで述べさせていただいていますが、ここではもう一歩踏み込んでいます。
「金銭的報酬を与えられるからには、その課題はきっと苦痛に違いないはずだ」と脳が勝手に解釈し、ひらめく面白みを金銭的報酬が奪ってしまう、という事が起こるというのです。
という事を何度も複数の書籍や色んな先生方から言われると、つくづく、介護の仕事において人事評価制度を作って運用する事の難しさを感じてしまいます。
経営者側は評価をした結果を給与・賞与のカタチに変えて職員さんに伝えます。
でも、それを受け取った職員さんはせっかく楽しんでいた仕事も金銭的な報酬を受け取る事でだんだん楽しめなくなっていってしまう。
これを解消するにはやはり双方のコミュニケーションが不可欠だと私は考えています。
普段から同じ事に喜び、苦しみ、相互理解の土台があって初めて給与アップや賞与に「金銭的報酬」以外の意味付けができるのだと思います。
言うは易しですが、とにかく地道なコミュニケーションに勝るものは無いと、
そう伝え続けていきたいと思っています。