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コロナ関連の労働者への補償

1月8日~2月7日までの間、一都三県に再び緊急事態宣言が行われています。
私が住んでいる千葉県松戸市も、昨日は42名、一昨日は49名の陽性者が発表されています。

今回は
①新型コロナウイルスの陽性と診断された場合
②濃厚接触者と認定されたor風邪症状が出ている場合
③会社の仕事や売り上げが減ったから休んでと言われた場合

それぞれについてその際の今ある補償制度についてまとめてみます。
なお、今回は2021年1月13日現在の情報を元に記載しています。次々に新しい施策が打たれていますので最新情報をご確認ください。

①新型コロナウイルス陽性と診断された場合
療養のために仕事を休んだ場合には健康保険から傷病手当が支給されます。
最初の3日間の待期期間を満たすとその後の労務に服することができない日×お給料の1日分の3分の2くらいの金額です。
この対応は本来は会社員の人が加入している健康保険のみだったのですが、国民健康保険でも特例として同様の対応が行われています。
つまり個人で運営しているお店のスタッフさんで国保加入者も、新型コロナウイルスに罹患した場合は傷病手当金が国民健康保険から出ます。(組合国保の場合は組合へ要問合せ)
ちなみに、医療、介護の職場で働く人がコロナウイルスに感染した場合には、職場外で感染した事が明らかな場合を除き労災の対象となり、医療費+休業補償給付が労災から支給される事となっています。
このあたりはインフルエンザの流行時等と取り扱いが異なりますのでご確認ください。

②濃厚接触者と認定されたor風邪症状が出ている場合
現在のところ、労災、健康保険いずれも対象外です。
『使用者の責』つまり会社の責任ではありませんから会社には休業手当の支払い義務もありません
また、「濃厚接触者」というカテゴライズがすでにあまり意味を成さなくなっているようです。
と言うのも、実は身近なところで最近陽性と診断され(福祉関係者ではありません)、今まさに自宅隔離をしている人がいます。
その方が保健所の方へ「一緒に長時間食事をした人がいる」という申告をしたものの「心配だったら病院へ」という案内にとどまっていたとの事。
市中感染が既に広がっているので濃厚接触者であるか否かにかかわらずもう誰でも感染リスクがある程度あるという事なのだと思います。

一方、少し熱があったり咳が出たりしているので、特に濃厚接触した覚えは無いが休もうと思う、という場合も保険対象外です。
入院するほど重症であったり、医師から就労不可の判断をもらえば健康保険の傷病手当の対象にもなり得ますが単なる風邪の場合には4日以上の就労不可というのもあまり現実的でないかと思われます。

③会社の仕事や売り上げが減ったから休んでと言われた場合
労働者を『使用者の責に帰すべき事由』により休業させる場合は、使用者は平均賃金の6割以上を『休業手当』として支払う義務を負う事が労働基準法によって定められています。
売り上げが減ったのに6割も払うなんて!という社長さん、安心してください。
そのための雇用調整助成金です。休業手当を支払って、助成金を受け取る事で6割と言わず上限いっぱいまで手当を支払ってあげる事ができます。
雇用調整助成金は、休業手当が払えないから辞めてもらう、なんていう事が起きないように雇用を守るための施策なのです。
手続きの代理、ご相談も承れますが少人数であれば社長さんおひとりでも小一時間で申請できると思います。
アルバイトシフトを減らす、時間を短くする、なんていうときにも対象となりますので積極的に利用してください。

以上3つの場合について述べましたが、個人的には②濃厚接触者と認定されたor風邪症状が出ている場合についての補償が心許ないがために少々無理をしてでも働いてしまい、結果的に感染を広げてしまうのではないかと心配しています。
介護福祉の現場スタッフについてはテレワークの対応も困難だと思われます。
まだ担当事業所では発生していませんが、仮にご相談があった場合には「会社からの休業指示を出して、休業手当を支払ってあげて、雇用調整助成金を申請しましょう」とお伝えすると思いますが、これも要件に該当しない事業者さんは使えません。
そもそも経営も苦しく何とか生き残りをかけて四苦八苦している中で、ここまで手が回らない会社も多いのではないかと思います。

コロナが怖いからと言ってどこにも行かず、何もせず、じっと耐える事が正義かと言うと、皆の我慢によって職を失ったり日常を失っている人もいるわけで。
一方でコロナウイルスによって重篤な状態になったり命を落としてしまった人もいて、日々必死の思いで現場に立っている医療福祉スタッフもいます。
立場が違えば見えている世界が違うから、自分にとっての正義を声高に叫んだところで無意味です。

テレビは感染者数の発表、会食批判、街頭インタビューで「今日は何をしに外出していますか?」と毎日毎日飽きもせずにやっています。
それぞれ直面している問題は違うはずで、「みんな」の意見にそんなに意味があるとも思えず、テレビをつける気になりません。
「みんな」がこう思っているというのは一人ひとりから聞きたいというのが個人的に思うところで。

今この状況において感じるのは、それでも心の健康さえ維持できれば打ち手は探す事ができるはずだという事です。
労働者、経営者にとって使える制度もこれからきっとまだ新設されると思います。
健康な心で、迅速に情報収集を行って、冷静に取捨選択していく。
そのためにもしも私が少しでも力になれるのであれば嬉しい限りです。福祉事業者の方、何かあればご相談ください。

そうやってこの局面を個々人が乗り越える事で、結果的に「みんな」が乗り越えられると信じています。

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